<武井順一> 武井順一作品を求めて、
2014年 06月 27日
木工の武井順一さんのスプーンたち。
先日、武井さんと鍛金の寺山さんの二人展が、
長野県佐久市望月の多津衛民藝館で開催された。
初めて訪れる多津衛民藝館は、噂に聞いてはいたけれど、
ご多分に漏れず本当に辺鄙なところにあった。
出かける際、天気予報で午後から局地的な豪雨の恐れあり、
気を付けてお出かけ下さい。と言っていた。
確かに、往路半分ほど過ぎたあたりで雷が鳴り出した。が、
車は絶縁体だから車中にいれば安心。とその時は思っていた。
しかし、次第に雨の粒が大きくなり、道路の雨量も量が増し、
だんだんに軽自動車の細いタイヤが頼りなくなりだした。
追い打ちをかけるように、ワイパーまでも頼りなくなってくる。
押し返すような雨の強さ、初めての場所。
どこまで押し進んでいいのだろう、と不安を押し返しながら進んでいたら
進みすぎていた。道を伺ったコンビニの方がとても温かくて骨身に染みた。
やっと、軌道を修正して目処がついたころ、
最後にもう一度、坂道、急カーブ、極細幅員。
すごいところに建てるものだ。
普段多津衛民藝館は、小林多津衛さんという望月出身の方の
民芸品のコレクションを展示している。
多津江さんは明治29年生まれ。104歳で生涯を閉じた。
教師を長く務め、その間に柳宗悦さんの民芸運動に深く感化される。
今回は企画展。
寺山さんの打ち出しの銅の器、武井さんの木工作品の数々。
民藝館の古民家の醸し出す重厚感と二人の作品が良く合っていた。
お二人の作品を堪能しているうちに、来たときに抱えていた小さな疲弊は癒えていた。
車に乗り来た道を返すと180度向きの変わった景色は全く違うものだった。
そして私の感想も、「辺鄙なところ」から「選りすぐられた場所」へと変わっていた。
by lavvoronte
| 2014-06-27 13:13
| 木のもの