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by lavvoronte

カテゴリ:日本の美意識( 2 )

地唄舞を楽しむ会

 古くは源流を御殿舞に辿る
 能の静的な舞をその要素に持ち、実に内面的な舞い方をする

彼女と出会って10年に近い
平成に生きながら万葉の感性を生きている彼女からみれば
私は遠く離れた宇宙人のように思えただろう

始まりはふらっと通りがかりにお店に寄ってくれる
軽井沢に休息を求めに来た若い移住者の一人だった。
次第に私は興味深く話をするようになるが
それは玉ねぎの皮を一枚ずつ、慎重に剥がすような
知識や感性を敏敏に研ぎ澄まし、
探るように語られる事を理解しようとする作業だった
しかし、未だに私には計れない感性(今生)を
彼女は自身の深い湖の底に内包して生きている

彼女が軽井沢を立って二夏が過ぎた先日
連日に渡りおしゃべりを楽しむ一時を持つことが出来た

以前から「地唄舞」に懸けてきた人生や生い立ちを聞かせてはもらっていた
始めは日本の伝統芸能のいろはだった
能や狂言や文楽や清元や、単語としては聞いたことはあるが
知っている事はその表面だけ、そんなことの背景や「何を」舞っているのか
そして地唄舞も初めて私に与えられた存在だったので
その成り立ちや日本舞踊とは何がどのように違うのかなど

 御殿舞だった地唄舞は宮中、殿上人など極限られた人のみが観ていたものです。
 それが江戸頃、京阪のお座敷の中で地唄を伴奏に
 人の苦しみや哀しみ、煩悩などを内に秘め静かに舞われ
 また、それをみる人もやはりお座敷を上げる事の出来る極限られた人たちでしたので、
 舞台芸術として一般の人がみられるようになったのは近年のこととなります。
 いずれにせよ、文化、知識人など通な人に好まれ発展してきたので、
 そのような文化人たちがいなくなりつつある昨今その行く末は言わずもがなです。
 能も武家に好まれ発展したのでやはり大衆化はしませんでした。
 一方、歌舞伎、文楽は町民にみてもらう中で発展してきました。
 それなので成り立ちの部分が大きく異なります。
 神楽などの民族芸能などは、村人たちの中で神に捧げるように残ってきたのだと思います。
 村人たちの神楽は里神楽と呼びます。
 ちなみに歌舞伎舞踊は「踊り」「踊る」
 能や地唄舞は「舞」「舞う」になります。
 舞楽も神楽も「舞う」といいます。

「古くは源流を御殿舞に辿る
 能の静的な舞をその要素に持ち、実に内面的な舞い方をする」

能や地唄舞は削いで削いで削ぎ落し果てにはほとんど動かない
動かない間が小さな動きを衝撃波のように響かせる
能においては面に穿たれた小さな覘き穴から見える
極僅かしか与えられない外界と対話しながら
息を殺し動を殺し神経を研ぎ澄まし舞う
あまりのことに、人生最後の舞となる事も事実存在するし
その覚悟で舞っていらっしゃると聞いた
知らなかった。
一つの舞に懸ける思いがこれほどまでとは。

今回私が感じたこと、
絵画にしろ映画にしろ踊りにしろあまたの芸術(表現)は
観る我々の抱えていた思い、消化できない感情など
自分と同じような感情をそこに見つけるから、
心奮わされ慰められ整理(消化吸収)され、涙する
それを感動と呼び、知らず知らずにそこに救いがあるからまた求めたくなるのだろう

人に見せる為の踊りではなかった地唄舞という芸は神にささげる舞だった
日々民を思い己をささげる神
それがだんだんに玄人にも乞われるようになり
神の前だけで舞うのではなくなってゆく
超絶した感性を抱える玄人達の思い
それらを消化させられるほどのものとは如何なるものか
それを舞えるほどとは如何なるものか

演目を演じ舞うのではなく
演目のままのその人生をただ、舞う
真実(事実)を見せられるから腹の底から唸る他ない


「地唄舞を楽しむ会」
 地唄舞 菊の露     俵 菜緒
 仕舞  海士ー玉の段ー 中村 政裕
 地唄舞 球取海女    俵 菜緒

平成28年11月12日(土)
栗田美術館山荘(足利)
午後2時30分開場 | 午後3時開演
チケット ¥5,000(税込)
tel 0284-41-2776

「森田拾史郎 写真展  能ーNoh-」
古典芸能をはじめとする、舞台写真家の第一人者
森田拾史郎氏の写真展。独自の視点で切り撮った
能の写真を中心に地唄舞の写真も展示
~平成28年11月下旬
<期間中イベント>
古典からみる日本の美、日本の心
日頃入口の少ない日本の古典・文化に
楽しいお話を交えながらふれて頂く集いです。
10月20日(木)19:00~
参加費 3,500円(珈琲とお菓子つき)
定員12名

はせがわ珈琲店(観光駐車場裏・足利)
0284-41-2776















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by lavvoronte | 2016-10-02 16:34 | 日本の美意識
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(上の写真は松江城のお堀の脇に建つ小泉八雲の住居です)







摘み草料理の京都美山荘は、とてつもなく辺鄙な場所までお客様に脚を運ばせる
裏を返せばそうまでしても行きたくなるという魅力がそこにしかないということになる
それはなにか。
風景であり、景色であり、設えであり、接客であり、料理であり
片田舎でテレビもない客室、携帯もつながらない、それなのではないだろうか
そして
「こんどは蛍の時期に行ってみたいわ」
とお客様が、想像力をかきたてる
そこにお膳立てされすぎておらず、受け取り手がそれぞれの色を見出す
テーマパーク的の非現実要素が隠れているのではないだろうか
と前の日のお客様とのおしゃべりで想像してみた

身の丈を越す敷居のそこはどんな感じだったかと思いネットを開いてみた
そこに私達日本人からも遠ざけられることの方が多くなった
艶のあるキャラメル色になった昔があった
太陽の光から引き離された室は小さな灯りに助けられ
ほのかに明るさを溜めていた
隅は明るさから逃れ、己の存在をごまかすことで
真実の広さを露呈されずに済まされていた
正体を現わさない室内から視線は自然と明るい外へと奪われているからである
身体を包み込む室内のほの暗さから 少し先の小さく開いた開口部の明るさを望む
この体験は洞穴や横穴式住居に住んでいた頃の遺伝子の記憶を呼び起すのだろうか
 


そのうちに、おなじく京都の俵屋を覘いてみたくなり、ネット内を散策した
擬似体験が完成するほど丁寧に細に渡る写真が沢山載っていた
俵屋には美山荘も持つ非現実要素と共に
程よくお膳立てされたストーリーが設えられていた
そのお膳立ての自然さは、滞在者を知らずに作家へと仕立ててゆく
滞在者はそれと知らずに自ら生み出した「ストーリー」の世界へと
舞台が転換させられていく

街の中を塀一枚で切り取りその中に確かな静寂を構築している
壁と共に静寂を構築しているのは
遠近感を自在に操る巧みな技で造園された庭木たち
それらを映画監督が観せるスクリーンに切り取られた景色の様に
誰しも同じ景色を体験できる絶妙な配置の窓から眺める
ここでもやはり視線は自然に外へと奪われる



いろいろとネット内をふらふらしていると2年前に行った
小泉八雲が住んでいた住宅を思い出した

如何にも、という日本建築に必要な要素から何も省かれていない
つまり裕福さが滲んでいる塀や門に対し
精神性を見せられるほどに削ぎ落された間取り
どうしてこんなに削ぎ落とせたのだろう
答えは素晴らしく優れた間取りの計画にあるのではないかと
平面図を描けるほどに観察した
そして強い余韻に酔わされたまま次の場所へと続きの観光を進めたのだが
意識がそこに釘づけにされてしまったため
意識を取り戻しに再び訪れたほどに魅せられてしまった

その時も見事なお庭だなあと感心した
ただ、後にもしかして建物なんて関係ないんじゃないか
と思わせるほどに主役をとってかわられるとは思っていなかった

そして簡素な建物に対し遠慮の無い豊かな造園
足りなさを覚える面積に豊かに世界観を与えていた

ネットの中をぐるぐると旅をしたようにいろんな景色に出会い
頭の中も沢山ぐるぐる走り回った
そして気が付いた
日本建築の主役は庭ではないのか。





それでは小泉八雲の住宅へご案内致しましょう

玄関の上がり間です
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上がり間から家の奥へと歩を進めます
角を曲がるごとに庭が表情を変え時の流れさえ感じさせます
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入口へ戻ります
畳を4枚横に並べその周りを縁側の様に板の間が巡らされています
そこから見る正面のお庭です
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角にはしゃちほこが
こう置かれるとかわいらしいオブジェに感じます
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建物に沿い90度折れ趣も変えた側面のお庭です
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ポイントとしている庭木の足元の苔や砂利による多彩な演出
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側面の庭から顔を出しその奥まで続くお庭を望みます
隅から隅まで気を抜かず丁寧に作りこまれています
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上の写真に見える蔵を90度回転させた蔵の入口
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上写真の蔵入口の前方の庭です
ここは八雲の書斎脇にあたる裏のお庭です
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書斎開口部正面から裏庭を望みます
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書斎の隣りの間からの裏庭の眺め
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どの窓をとっても違う景色です



<まとめ>
一番奥にあたる書斎から正面のお庭を望みます
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こちらは始めの4畳の間から裏のお庭を望みます
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横穴を思い出させるような室の奥の暗さから
穿たれた開口部から溢れる外の明るさへ
視線と共に精神も引き込まれる




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建物より個性豊かな建物の外
三つの建物から感じた共通項のお話でした。
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by lavvoronte | 2015-10-18 20:35 | 日本の美意識