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by lavvoronte

バルトへの旅 21. ~人生初のオペラ鑑賞~  (四日目)

ぶっつけ本番で一度きりの人生において
「オーロラ」 と 「お相撲を枡席で」 と 「オペラ」 は
見てみたいなというのが今のところの目標です。
この日、その一つが実現します。
私はそれを経験して何を感じるのでしょう。

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オペラの演目はあの「マクベス」です。
有名ではありますが私が把握しているのはタイトルのみ。
貴重な体験を熟睡で終わりたくなかったので、
念入りに内容を予習して迎えました。
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過ごしてきた時間を感じさせる重厚な作りのオペラハウス。
舞台を囲む2階席はブースごとに仕切られ、
そこにはひじ掛けの無いダイニングチェアのような椅子が
ギュウギュウに置かれていました。
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さて、どんな演出で幕を明けるのでしょう。
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金襴緞子に飾られたドレスやジャケットを着て出てくるのだろう、
と「ベルサイユのバラ」の世界を想像しながら待ちました。

はたして演出者の世界観を理解するのには、しばし時間が必要でした。
幕の上って行く舞台には稲妻光る曇天の下にサッカーゴール
(サッカーゴール!?)
嵐の中一人の男が肩を大きく上下に動かし息を整えている
囚人服の様な地味な上下、髪は七三分けをソバージュに
予習では「戦果をあげたスコットランドの将軍にしてグラミスの領主マクベスは、
バンクォーと陣営に戻る途中、荒野で3人の魔女に出会う。」とありました。
暗天の下、肩で息をしているのはマクベスか
重たくて暗くて夢の中の様な不思議な世界
ときおり妖精の様な人物が人の感情を表しているのか
その場の空気を表しているのかコミカルな動きをして
より非現実感を象徴する
出てくる演者もみんな地味な色の上下に七三分けのソバージュ
それが提案性あるデザインのヨージ・ヤマモトのもののように感じられ
先ほどの妖精のコミカルさとも合わされ
こんがらがった紐が解けるようにするすると解けるように
予習したマクベスを手放し、前衛的で面白く思えていくのでした。
面白さに乗ってきたところで一幕が終わります。
一緒に来た友達と感想を話し合っていると、彼女も話は分からないが
コーラスやオーケストラの演奏がとても素晴らしいので聴き入っている
と言っていました。いろんな鑑賞の仕方があるのですね。
そうして、幕が閉じるまで体験したことのない世界観に身を任せました。

オペラの文化に親しんでいるこちらでは開演前は余裕を持って会場入りし
シャンパンなどを飲みながら時間を楽しむのがたしなみだそうです。
あら、優雅だわぁ。と楽しみたい気持ちは山々でしたが開演直前に飲んでしまったら
確実に熟睡コースです。アルコール許容量の少ない損な日本人。
少し残念な気分ですが目的はオペラです。アルコールを摂取しないでも十分に満喫します。
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何度かのカーテンコールも終わり
大きな拍手の残響を耳にかすかに残したまま
来たときとは確かに違う身体の重さを抱え一同外へ出る
この重さは演出者が私達に投げかけた舞台に託したある種の問いであろう

初めてのオペラは想像以上に初めてのショックに満ち
文化の厚みを思い知らされる音楽の成熟度
バルトの芯のある骨太な骨格を見たようだった
観る演目や演出によって感想は大いに異なったことだろうが
期待して迎えた初体験がここで良かったと深いため息で
23時に近い薄暮のバルトの空を覆うのだった
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by lavvoronte | 2016-10-09 12:22 | いってきました。