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森の中のちいさなお店 すてきな”ギフト”みつかります


by lavvoronte

容積

数輪の辛夷が咲いているのに気が付いた日
4月だというのに初夏のような暑さの日
コンサートがあった。

坂本龍一のピアノ独奏。
古いオペラハウスを思わせるような
赤と闇の印象的なコンサートホール
ギュッと吸い上げられそうに高い天井
私達の席は最上階4階、バルコニーと呼ばれるような場所だった。
席から見下ろすと
深い深い海底を覗き込んでいる感覚そのものだった。

彼の奏でる
鉄筋の細さ位の僅かな着地点しか無いような、
独特の不安定な和音
なぜか懐かしさを誘うメロディー

音階を知り尽くした人が生み出す音は
まるで、言葉だった。
毎日のように出来上がる曲は日記なのだろう。

中学の時に買ったCDを、いまだに聞いている。
あの時から彼の果てを指す半径はずいぶんと広がったはず。
蓄積された経験の故に、マイスターの域に達した表現する技、
その行動も、広く大きくなったであろう。

彼から見た地球と、私の知っている地球では
その大きさが桁違いに違うのではないか。
’それぞれの容積率’

アンニュイな音を体内に共鳴させながら
暗い洞穴のような箱の中で
そんなことをずっと考えていた。
by lavvoronte | 2009-04-11 22:15 | ぶつぶつ・・・